ビジネスの世界ではペルソナマーケティングだが、「ペルソナ」という言葉に感じる違和感

ペルソナの象徴 中世の仮面舞踏会のマスク
ペルソナマーケティング

「ペルソナ(persona)」のそもそもの原義は、上の画像のようなヨーロッパの「仮面」のことです。
ですが、使う場所によって、意味合いが異なり、会話に違和感が生じることがあります。

目次

マーケッターの世界のペルソナ

「ペルソナマーケティング」は、15年ぐらい前から流行りだした概念で、ペルソナとは製品やサービスを売りたい典型的なユーザーを体現する仮想的な人物像といった感じでしょうか。マーケッターの人は「ペルソナは、ターゲットユーザーとは異なる概念」であることを強調します。「架空の1人の人物像」に対して物やサービスを売るブレインストーミングを行うのですが、マーケッターの人がいなくなると「これ何の意味があるの?」といった会話が日本中で繰り返されてきました。

心理学用語としてのペルソナ

20世紀前半にスイスの心理学者であるユングによって名付けられました。
ユング心理学(分析心理学)的には、「自己の外的側面」を意味しています。批判を覚悟で超大雑把に言えば、

心理学者ユング

人は皆社会の中で周囲から求められる役割を無意識に演じているでしょ。暮らしの中で人が被っている何種類かの仮面を、上手に着脱できるといいよね!

といった感じです。

ソフトウェア用語としてのペルソナ

アラン・クーパーによって提唱された概念です。
彼が「Visual Basicの父」と呼ばれる背景がまた黒歴史なのですが、1999~2000年頃に出てきた言葉だったと記憶しています。「コンピュータを使うユーザー像」のことをペルソナと呼びました。

ほとんどのユーザーは、初心者でもなければエキスパートでもない。彼らは永遠の中級者なのだ!

…という話が有名です。
「ユーザーインターフェース」概念の導入で人間に優しくして、コンピュータを使う敷居や、プログラミングの敷居を下げようとしました。素のUNIXとかMS-DOSなんかのコマンド入力から、「窓」に移行する時代の話です。

ゲームの世界のペルソナ

ロールプレイングゲーム(RPG)のロングセラーにペルソナシリーズがあります。20世紀の終わり頃にSONYのプレイステーション用に発売されて、今でも続編が発売され続けています。RPG世界観で、ペルソナとは「人の心の奥底にある複数の別人格が具現化した特殊能力」の設定です。ペルソナ使い ≒ 魔法使いといった感じでしょうか。

使うときは気をつけよう!

ビジネスの世界では「ペルソナマーケティング」という言葉が流行していますが、世間一般にはゲームを指すことが多いようです。良い悪いは別にして、人によって概念が違う同音異義語ですから、コミュニケーションの最初に意識合わせが必要です。厄介な言葉ですね。

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