世界はPDCAを回していない!
社会人にはお馴染みで今更ではありますが、PDCAサイクルという名称は、サイクルを構成する次の4段階の定義の頭文字をつなげたものです。4の改善まで終わったら後は、再び1の計画に繋がって再度開始される(グルグル回る)のが良いとされています。
- Plan =計画
- Do =実行
- Check =評価
- Act =改善
そもそもPDCAは、1950年代にアメリカのデミング博士により提唱され、かつては製造業のライン運用で活躍しました。トヨタの「カイゼン」の元になった概念です。しかしながら、欧米系のビジネスマンとPDCAの話をした経験を聞いたことがありませんし、私自身もありません。ウィキペディア(Wikipedia)の日本語版では「PDCAは(〜中略〜)主に日本で使われている。」と書かれてしまっています。
みんな大好きなPDCAですが、特に成果考課や戦略策定に使ってしまっているケースでは「あれ意味無いよね・・。」と昔から陰日向に言われ続けているものです。実際のところ、今の日本人がどの程度PDCA好きなのか、簡易的に調査してみました。
- PDCAの使用は、一部の国に偏在している。
- ブラジル人は、日本以上にPDCAが好きだった。
- 日本人は、世界で2番目にPDCAが好き!
- 中国・台湾が続くものの、香港でのPDCAの使用率が低い不思議。
- PDCAを開発したアメリカでの使用率も、香港と同程度に低い。
考察
日本ではバブル崩壊後、成果主義の導入が流行り出した頃から、何故かPDCAと業績評価とが結びついて使われ出したように感じる人も多いかと思います。上記Googleトレンドのデータでも、日本ではPDCAとKPI(目標達成までのプロセスを数値化したもの)がほぼ同じ割合で使われており、そう的外れな感覚でもないでしょう。
大抵の考課シートでは、Plan(計画=目標設定)とCheck(評価)を行うのが管理者、Do(実行)とAct(改善)を行うのがスタッフです。そもそもPlanがコロコロ変わってしまったらPDCAは機能しません。ですから考課シートに使うPDCAのPlan(計画=目標設定)は、従来の延長線上での無難な物になる傾向があります。改善ではなく、PDCAを動かすことが目的になっている状態です。
そもそも今の時代に、半年や1年後を読み切ったPlan(計画)なんて至難の業です。イノベーションの源泉など計画して作る物ではありません。また、今や国家レベルで計画経済をやっているのは北朝鮮ぐらいです。大きな規模で問題解決のプロセスを動かすのに適する「PDCA」を、細分化・多様化した時代にマッチさせるよう労力を投入し続けるのは、「しがらみ」的に理解できなくもないですが、同時に奇妙であるとも言えるでしょう。
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