今や贅沢品になったマクドナルド!最新2023年1月版「ビッグマック指数」に見る日本人の悲しい購買力。

ビックマック指数2023年1月

ビッグマック指数とは、イギリスの経済専門誌「エコノミスト」が年2回発表している、「絶対的購買力平価」という為替レートを考える時の説をベースにした経済指標です。

2023年1月26日に最新版の数値が発表されました。日本のビックマックは1月に値上げされたものの、ビックマック指数の順位は41位と、昨年7月と変化ありませんでした。

購買力平価と言うと難しい感じですが、例えばiPhone14の価格は、アメリカのAppleストアで799ドル(税抜)、日本のAppleストアで11万9,800円(税込)です。ゆえに11万9,800円÷1.1÷799ドルで、1ドル≒136円がApple社が設定した想定為替レートになります。

日本円で生活している私達の感覚では「iPhoneは高くなった」ですが、iPhoneの価値は変わっていませんし、ドルベース価格も変わっていません。円安で輸入品が高くなった=日本の購買力が落ちた、だけのことです。

経済学の概念で、自由貿易をしている経済市場では、同じ商品なら世界中でほぼ同じ価値になる”一物一価の法則”というものがあります。為替レートは「通貨の購買力」によって決定されるので、世界的商品のビッグマックは、購買力を比較するのにピッタリな商品といえます。

例えば日本のビッグマック1個の価格は410円、アメリカのビッグマック価格は現在の為替レートで換算すると1個697円、ビッグマックの価値は同じですから、日本ではアメリカよりも「割安」でビッグマックが食べられることになります。

  • 日本のビッグマックが割安なのは、ドルが円に比べ過大(=円が過小)に評価されている。
  • 日本のビッグマックが割安なのは、そもそも個人の購買力(≒実質賃金)が低いから。

ビッグマック指数の「割安」には2つの意味(解釈)があります。両方とも正しいのですが、為替の人は前者を重視、ファンダメンタル(マクロ経済)の人は後者を重視する傾向があります。

日本は「為替が割安」&「実質賃金も安い」ので、外国人観光客の感覚だと「日本は何でも安い国!」ゆえに爆買いなので、インバウンド消費って実は悲しい言葉ですよね。

注1:厳密には「絶対的購買力平価説」は成り立ちません。経済学の前提は物理学の前提とは違い、完全競争市場なんて無いからです。しかしビッグマックでの比較は肌感覚で分かり易いので「おおむね合ってる」という前提でビッグマック指数は便利です!

注2:「エコノミスト」のビッグマック価格は「税込み価格」で集計しています。ですから、消費税率の高い国(イギリス、フランス20%、北欧25%)は、安い国(台湾、カナダ5%)より消費税(付加価値税)の差の分だけ指数が高く出る傾向にあります。

注3:知る限り、どこの国のマクドナルドでもTake away(持ち帰り)とEat-in(イートイン)は同一価格で販売してるようです。ドイツのような食品の軽減税率(7%)が標準税率(19%)より12%も低い国では、税務署の人がカウンターを持って客を観察してそう(笑)

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