【改訂2024年1月版】 今や贅沢品になったマクドナルド!「ビッグマック指数」に見る日本人の悲しい購買力

ビックマック指数で見る「購買力平価」

ビッグマック指数とは、イギリスの経済専門誌「エコノミスト」が年2回発表している、「絶対的購買力平価」という為替レートを考える時の説をベースにした経済指標です。

【2024年3月追記】「エコノミスト」の最新データに表を差し替え。 英エコノミストから1月25日付で新しいデータが公表されました。日本のビックマックの値上げ(1月24日より450円→480円)は反映されていません。アメリカと欧州のインフレは一時期より沈静化し、また資源価格も落ち着いてきたものの、何故か日本は実質GDPが2四半期連続のマイナスです。円安を主因とする物価高は継続しており、スタグフレーションの気配が出てきました。ビックマックを基準とした購買力順位も貧しいままで、数字からは改善の兆しは見えてきません。

【2023年8月追記】「エコノミスト」の最新データに表を差し替え。 日本のビックマックは1月16日に410円→450円に値上げされましたが、世界のインフレは凄まじく、日本の順位は44位と1月より下がりました。ビックマック指数だけで見れば、世界での相対的な購買力は低下している方向性と解釈できます。9月発売のiPhone15も、さらに100ドル程度の値上げが噂されており、体感的にも国際商品のインフレに追い付けなくなりつつあります。ちなみに2023年7月19日より「都心型店舗」のビックマックは450円→500円に値上げされています。日本マクドナルドの業績的には、客数は減ってるものの、売上高の増加が著しく過去最高益ペースです。

2023年1月26日に最新版の数値が発表されました。日本のビックマックは1月に値上げされたものの、ビックマック指数の順位は41位と、昨年7月と変化ありませんでした。

購買力平価と言うと難しい感じですが、例えばiPhone14の価格は、アメリカのAppleストアで799ドル(税抜)、日本のAppleストアで11万9,800円(税込)です。ゆえに11万9,800円÷1.1÷799ドルで、1ドル≒136円がApple社が設定した想定為替レートになります。

日本円で生活している私達の感覚では「iPhoneは高くなった」ですが、iPhoneの価値は変わっていませんし、ドルベース価格も変わっていません。円安で輸入品が高くなった=日本の購買力が落ちた、だけのことです。

経済学の概念で、自由貿易をしている経済市場では、同じ商品なら世界中でほぼ同じ価値になる”一物一価の法則”というものがあります。為替レートは「通貨の購買力」によってマクロ経済学上は決定されるので、世界的商品のビッグマックは、購買力を比較するのにピッタリな商品といえます。

(現実的には、ドル・ユーロ・円・ポンド・スイスフランなどの国際決済通貨の為替レートは「金利差」で動いています。ただ成長性と金利は大局的にはリンクするので、為替を購買力の観点から見ても不適切と言うほどでは無いと前提しています。)

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例えば日本のビッグマック1個の価格は410円、アメリカのビッグマック価格は現在の為替レートで換算すると1個697円、ビッグマックの価値は同じですから、日本ではアメリカよりも「割安」でビッグマックが食べられることになります。これを「同じビックマックでも、アメリカは697円払えるけど日本では410円しか払えない!」として、日本人の購買力はアメリカ人より低いとしても間違いではありませんが、以下の二つが考え方の方向性です。 

  • 日本のビッグマックが割安なのは、ドルが円に比べ過大(=円が過小)に評価されている。
  • 日本のビッグマックが割安なのは、そもそも個人の購買力(≒実質賃金)が低いから。

ビッグマック指数の「割安」には2つの意味(解釈)があります。両方とも正しいのですが、為替の人は前者を重視、ファンダメンタル(マクロ経済)の人は後者を重視する傾向があります。

日本は「為替が割安」&「実質賃金も安い」ので、外国人観光客の感覚だと「日本は何でも安い国!」ゆえに爆買いなので、インバウンド消費って実は悲しい言葉ですよね。

注1:厳密には「絶対的購買力平価説」は成り立ちません。経済学の前提は物理学の前提とは違い、完全競争市場なんて無いからです。しかしビッグマックでの比較は肌感覚で分かり易いので「おおむね合ってる」という前提でビッグマック指数は便利です!

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注2:「エコノミスト」のビッグマック価格は「税込み価格」で集計しています。ですから、消費税率の高い国(イギリス、フランス20%、北欧25%)は、安い国(台湾、カナダ5%)より消費税(付加価値税)の差の分だけ指数が高く出る傾向にあります。

注3:知る限り、どこの国のマクドナルドでもTake away(持ち帰り)とEat-in(イートイン)は同一価格で販売してるようです。ドイツのような食品の軽減税率(7%)が標準税率(19%)より12%も低い国では、税務署の人がカウンターを持って客を観察してそう(笑)

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私たち松濤bizパートナーズは、「Work style innovations for the future!」のブランドコンセプトを掲げ、日本の購買力を上げるべく、日本企業の生産性向上によって社会と個人が豊かさを取り戻す手助けをしたいと考えています。

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