上司を「さん」付けで呼ぶべき理由
2000年前後からでしょうか、一時期「さん付け運動」というのが流行りました。社内で上司を呼ぶとき「肩書き」ではなく「名前+さん」で呼ぼう!という意識改革運動です。
主に大企業で行われ、目的は単純です。
- ボトムアップで意見が上がってくる風通しの良い組織にしたい。
- 人事異動の度に肩書きを覚え直す無駄の排除。
- 「肩書き+名前」で人を呼ぶ習慣は日本独自のもので、英語圏では聞かない。
(フォーマルに呼ぶ場合は「Mr .名字」で、2~3回会った後に「Call me 名前!」)
日本では今日でも上司の「さん付け」に批判的な人は珍しくありません。しかし組織論の観点から考えると、向き不向きの理由は非常にシンプルです。
トップダウン型組織(≒ピラミッド型組織)
上意下達(じょういかたつ)
伝統的な組織論で作られている組織です。統制重視タイプの観点ですから「肩書き」で呼ぶのが適しています。「肩書き」という権威をマネジメントに使えるので、規模の大きな組織を作るには比較的楽です。
ボトムアップ型組織(≒フラット型組織)
下意上達(かいじょうたつ)
多様性を活かしやすく複雑な課題を扱うのに向くとされ、「さん付け」で呼ぶのに適しています。しかし、マネジメントもスキル機能の一つに過ぎないために組織統制が難しい側面がありあリます。規模の小さな組織を作るのならデメリットはありません。
どちらのタイプの組織が望ましいのかは正解が無い世界で、宗教論争に近いところがあります。先の見通しにくい(不確実性の高い)時代においてピラミッド型組織はリスクが高いというのが理屈ではあるものの、フラット型組織のマネジメントは(能力や仁徳とかで行ける人を例外に)マネジメントスキル訓練が必要になり、コストが発生します。
どちらにせよ「さん付け」だけでボトムアップ型組織に自然となることはありません。ただ、組織改革の「きっかけ」としては日本だけで使える有効な手段です。
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