日本のGDP推移とGDPデフレーター(1994〜2022年の推移)の数字で見る失われた30年、日本はなぜ貧しくなったのか、衰退途上国は本当?

日本のGDP推移、失われた30年、名目GDP、実質GDP、GDPデフレター

日本経済が横ばいの間に世界の経済規模は3〜4倍になった

そもそもGDP(国内総生産)とは「一定期間内に国内で産み出された物やサービスの付加価値の総合計額」のことで、一国の経済規模を示す代表的な経済指標です。日本のGDPは長らく世界2位でしたが、2010年の数字で中国に抜かれ現在は世界3位です。国際比較には、ドル換算した名目GDPの数字を使います。

大抵の場合には名目GDPと実質GDPの2つが出てきます。語感的には「実質」GDPの方が大事そうですが、景況感などの皮膚感覚とマッチするのは「名目」GDPの方です。同じ時期の貨幣価値に換算したのが実質GDPで、インフレ&デフレの影響を控除した成長度合いを見る時などに使います。

内閣府の開示データより、1994年〜2022年まで29年分の実績数字(名目GDP、実質GDP、GDPデフレーター)を時系列に並べてみました。

表の数字を見ると一目瞭然ですが、20世紀の終わり頃から、日本の名目GDPは500~550兆円ぐらいで横ばいです。この間の世界は、概ね5%程度の成長を続けてきました。単純に5%を30年続ければ(1.05の30乗≒4.32)約4倍になります。実際には為替の影響やインフレ&デフレの影響が複雑に絡むのですが、長期的な視点だと、日本経済が横ばいの間に世界の経済規模は3~4倍になったとの理解で構いません。

新型コロナによる旅行規制も収束し、渋谷の街にも外国人観光客が戻ってきました。インバウンド需要という言葉がキーワードになって久しいものです。外国人にとって日本の何もかもが安く感じるのは、ここまで経済成長率に格差があれば(もちろん円安の影響もありますが)当然の話です。

失われた30年の原因について多くの人が様々な考えを言ってきました。バブル崩壊後の金融危機、不良債権処理、消費税率や社会保険料の引き上げによる消費低迷、少子高齢化と人口減少、リーマンショックなどの外部経済要因、企業の国際競争力の低下、イノベーションの停滞、自然災害、などの複合的に絡み合った状況を解きほぐして適切な対応ができなかったことの影響と考えられています。大きな一つの要素によるものではありません。

Bing AIによる回答

そこで、私達はどうすれば良いのか、Chat GPT4のエンジンをカスタマイズして使っていると自分で言ってる、Microsoftの『新しいBing』に聞いてみました。ちなみにMicrosoft社は、Chat GPTを作っているOpen AI社の49%株主です。

Bing AIの回答

失われた30年から脱却するためには、政府や企業が構造改革やイノベーションを推進し、経済成長を再び加速させる必要があります。しかし、そのためには多くの課題や困難があります。例えば、金融政策や財政政策の限界や副作用、社会保障制度や税制の抜本的な見直し、人材育成や雇用改革、グローバル化やデジタル化への対応などです¹ 。これらの課題に対して、日本は十分な対策を打ち出せているとは言い難く、今後も失われた40年に突入する可能性も否定できません。

ソース: Bing との会話 2023/4/24
(1) 失われた30年とは? 日本経済が停滞し続ける理由と課題:日経 …. https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00081/121400478/
(2) 失われた30年 – Wikipedia.
https://ja.wikipedia.org/wiki/失われた30年
(3) 【嘘より悲劇】失われた30年の本質をゆとり世代がデータで調査
https://greenapple-investment.com/money-increase-and-gdp-growth.html

この件に関しては『Bing AI』の言うことは全く正しいです。今の時代、ITやデジタル化は、結局は生産性向上や構造改革の話とセットです。民間でも、FAX・プリンター・判子の世界は結構残っていますが、経営者が違和感を持たないと危ないかもしれません。

おまけ、人手不足は加速する

日本の全てが安いからインバウンド需要がある状態なのに、外国人労働力で人手不足を埋めようとする方向性は、近い将来に破綻する可能性が高いかもしれません。賃金的に雇い負けるのに、わざわざ日本へ出稼ぎに来る構造は持続不可能です。幸か不幸か日本の生産性(特にホワイトカラー)はOECD最低レベルゆえ、伸び代は十分あります。否が応でも生産性の向上しか打ち手がありません。

おまけ、名目GDPは少し底上げされてる話

我が国において国民経済計算の体系の測定にあたり採用している生産者価格及び購入者価格の概念は、消費税を含んでいます。つまり名目GDPの数字には、消費増税の影響が含まれています。概算で消費税1%=2兆円ぐらいの影響です。

失われた30年の期間に、消費税は5%→10%に上がりましたから、単純計算で約10兆円ぐらい名目GDPは底上げされていることになります。上記表の数字から消費税分を除いて考えると、20世紀末から全然成長していない感じになります。

ちなみにマクロ経済学上の「三面等価の原則」では、所得の総額と名目GDPとは”長期的には概ね”等しくなると考えます。これでGDPの横ばいの話と、給料が全然上がってこない皮膚感覚とがよりマッチしました。

おまけ「GNP・GDP・GNI」がややっこしい

昭和の頃まで日本は、GNP(国民総生産)で経済規模を表現していました。

GNP(国民総生産)・・・海外からの利子や配当の受取を含む
GDP(国内総生産)・・・海外からの利子や配当の受取を含まない!

『海外からの』利子や配当ですから、そもそも日本の景気実態とは関係ありません。高度成長期だったり、海外からの配当が少額だった頃は誤差の話でした。が、影響が無視できない規模にまでなったことで(紆余曲折もあり)景気実態を表現する経済指標は、GDP(国内総生産)に変更され、GNP(国民総生産)は廃止されました。

国内投資先が無いこともあり、日本の海外純資産は増加しました。よって『海外からの』利子や配当の受け取りも増大しました。直近では年20兆円ぐらいの規模になっています。一昔前から日本は貿易赤字国で基軸通貨国でもありませんが、上記の対外純資産があるので貨幣価値が保たれています。

ややこしいのは、近ごろは何故か日本でもGNI(国民総所得)を使う人が増えています。海外の統計に多いのでカッコ良い響きなのは分からないでもありませんが、計算はかつてのGNP(国民総生産)とほぼ同じです。海外純資産が日本ほど多い国は普通ではありませんから、大多数の国にとってはGDPでもGNIでも大差無いんです。

おまけ、GDP統計発表のタイミング

日本のGDP統計は、内閣府が四半期ごとに公表していて、1次速報、2次速報、確報と、同じ期間の数字が精度を上げながら3回発表されます。2022年10~12月の数字は、1次速報が2月14日に公表され、2次速報は3月9日に公表されました。秋ぐらいに最終的な確報が出ますが、2次速報から大きく数字が変わることは少ないので、直近値は2次速報の数字を使うことが一般的です。1次速報と2次速報とでは数字が結構動くこともあり、時に問題になったりします。

最後に

私たち松濤bizパートナーズは、経営コンサルティング会社です。「Work style innovations for the future!」を掲げ、日本企業の生産性向上によって社会と個人が豊かさを取り戻す手助けをしたいと考えています。

当社は後追い営業を一切行いません。
当社の生産性向上が気になった方はお気軽にご連絡ください。

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