これって死語?いえいえ今でも現役!「ビンゴ」だけじゃない「おじさんビジネス用語」
筆者が新卒で入社した会社は、平均年齢が28歳のとても若い精密機器メーカーに勤めていましたので、「おじさんビジネス用語」とはほぼ無縁の社会人生活を送っていました。そして2社目。今度は平均年齢が55歳の、見渡す限りにミドルエイジのナイスガイがいる環境に変わりました。筆者は、1社目で早朝から終電まで働き詰めの生活を送っていたので、仕事人としての基礎を叩き込まれたという、多少の自負がありました。ですが、2社目では素敵なおじさまたちが繰り広げる会話に全くついていけなかったのです。
今回のコラムでは、そんな筆者が2社目で身につけた「おじさんビジネス用語」をご紹介いたします。新社会人などのヤングたちはぜひ参考に、ミドルエイジのおじさま方は、若者と会話をする際のネタにでもしていただければ幸いです。
それでは、どんどん紹介していきましょう!
頻出ワード
決めの問題
どちらを選んでも大差ないので、どっちでも良いの意味。
例文:「A案とB案がありますが、正直決めの問題です。」
コピペ
コピー&ペーストの略。
筆者はバリバリ現役で「コピペ」という言葉を多様しているが、最近の若者は、PC<スマホであり、ブラウザを使って何かをコピーする習慣がない(例えばURLをコピーして検索するとか)ようで、知らない可能性が高いという。
出典:URLを知らない若い人たち説は正しいのか?ブラウザを使わない『スクショ世代』
この事実を知って、私はもう若くないのかと、かなり衝撃だった。
若者の皆様、”コピペ”とは、文章をマウスでドラッグしてCtrl+Cでコピー、ペーストしたい場所にCtrl+Vする操作のことです。
例文;「それはこの資料からコピペしたほうが早いよ。」
報連相(ほうれんそう)
ほとんどの社会人が新人の頃に教え込まれるこの言葉。「報告」「連絡」「相談」のことで、業務の基本。「報連相レベルの話だろ!」とは、「基本レベルの話だろ!」を意味する。
例文:「ミスしたときほど報連相はしっかりしましょう。」
たたき台
取り急ぎ現状の企画や案を粗々でまとめた資料のこと。
例文:「この資料をたたき台として、ブラッシュアップしていこう。」
よしなに
「そんな感じでよろしく!」ぐらいで深い意味は無い場合が多いが、後は一任するの意味が加わる場合が時々ある。便利な言葉。
例文:「うん。だいたいこんな感じでOK!あとはよしなに。」
交通整理
関係者や問題点がカオス状態になっている時に整理すること。
例文:「なんだか訳がわからなくなってきたな。一旦、交通整理しよう。」
ビンゴ!
自分の予想があたったときの表現。「よっしゃ!当たり!」くらいの感覚。
例文:「おっビンゴ!」
【大ベストセラーが漫画化】 マンガでわかるチーズはどこへ消えた?急いでいるときの表現
なるはや
期限は無いけど、優先順位高めでよろしく!
例文:「さっき伝えたあの件、なるはやでよろしく!」
可及的速やかに
「なるはや」よりやや切迫感強め。
例文:「その件については、可及的速やかに対策を講じます。」
大至急
他を差し置いても今すぐ、最高の優先順位
例文:「大至急、出荷してください。」
蕎麦屋の出前
やるべき業務の進捗が遅れている、または未着手のとき、「今やっているところです」と虚偽の報告をして、その場を取り繕ってやり過ごすこと。
昭和の時代において蕎麦の出前は一般的で、注文の混雑具合や道路状況によって、遅れることがしばしばあったとか。
…現代ではウーバーイーツの配達員がどこにいるか、GPSで一目瞭然ですので、使えない嘘ですね。。
例文:
「先ほど資料をサーバーにUPしたのですが、通信状況がよくないようで、エラーになっています。リカバリするのでもう少しお時間いただけますか?」
『はぁ、まったく、まるで蕎麦屋の出前だな。』
麻雀由来のおじさんビジネス用語
リーチ
麻雀のリーチは、あと1つの牌で上がることができる状態(聴牌:テンパイ)を宣言することで得られる役のことです。リーチを宣言すると、その後は手を変えることができません。ちなみに”テンパってる”の語源はテンパイ(聴牌)からきています。
一般会話では、「あと一歩で達成する」「正念場」のようなときに使用します。
例文:「でかい案件が入ってきたおかげでリーチかかってる!」
トイメン(対面)
麻雀は卓を囲んで4人でします。卓を挟んで向かい側のことを”トイメン”といいます。
会社では、机を挟んで向かい側のことをトイメンと呼びます。
例文:「席替えしたらトイメンになったね!」
アンパイ
麻雀は、自分の役を完成させて上がることを目指すものですが、相手がどの牌を待っているのか、相手の捨て牌や挙動を見ながら予想し、相手が先に上がるのを阻止しなければいけません。そのうえで、「これは絶対、相手が待っていないだろう(上がりにならないだろう)」という牌から捨てていくことになります。これを「安全牌」略して”アンパイ)といいます。
ビジネスの世界では、リスクが低いことを”アンパイ”といいます。
例文:「アンパイばかり切ってないでもっと勝負してきなさい。」(守りに入るな!くらいの意味)
ワンチャン
あと1枚で上がれる”リーチ”の状態のときに、1と2の牌を持っていて、”3”を待っているとします。でも、”3”はすでに3枚、捨て牌にあります。麻雀牌は4つずつしかないので、残り1枚の”3”を待つことになります。これをワンチャンス=”ワンチャン”と呼びます。
ここから派生して、チャンスが1度きり、または成功する可能性が低いときに使用されるようになりました。これはおじさんというより、比較的若い人が使っている印象がありますね。
例文:「今度の人事発表ではワンチャン昇格あるかも」
リャンメン(両面)
自分が持っている牌が2と3だった場合、1か4を引けば1・2・3または2・3・4で揃います。このように、2つの数字のどちらかを待っている状態を”リャンメン待ち”といいます。
そこから派生して、両面印刷やコピーをする際に使用されるようになりました。
例文:「この資料、”リャンメン”コピーしといてくれる?」
チョンボ
役が完成していないのに「ロン!」と言ってしまったり、フリテン状態(待っているはずの牌が自分の捨て牌にある状態)で「ロン」と言ってしまうと、ルール違反となります。それを”チョンボ”といいます。
そこから派生して、ミスをすることを”チョンボ”というようになりました。
例文:「うわ!チョンボした!」(やっちまった!くらいの意味)
ダマでやる・ダマテン
ダマテンは、テンパイ(あと1枚で役が完成する”リーチ”の状態)のときに、「リーチ!」と宣言せずに、黙っていること。(ヤミテンともいう)リーチを宣言すると、相手が上がるのを阻止しようと警戒されてしまうので、リーチを宣言せずに黙ってその時が来るのを待つというちょっとずるい手法です。
一般会話では、「秘密裏に進めちゃう」とか「黙ってタイミングをはかる」というようなときに使います。
例文:「終わりよければ全てよし。この案件は一人でダマでやろう。」
スポーツ由来のおじさんビジネス用語
ボールを持つ・ボールを投げる
ボールは責任の所在を表します。複数人で仕事を進めているときなどによく使われます。仕事を誰かに引き継ぐときは、「ボールを投げる」という表現になります。
例文:「今、誰がボール持ってるの?」「その件については、先方にボール投げといて」
全員野球で
一致団結して、総力戦で、チームで力を合わせて取り組むこと。
例文:「今回のプロジェクトは気合を入れて、全員野球で乗り切りましょう!」
徳俵に足かかってる
追い詰められている様子。お相撲さんが土俵際に追い詰められている様から。
例文:「徳俵に足がかかり、存続の危機に陥っている。」
言葉に勢いのあるおじさんビジネス用語
イケイケ
マイルドな猪突猛進、バブル期のワンレン、ボディコンで怖いもの無しな雰囲気が語源?
≒ノリノリ
例文:「○○君!今月調子いいね!イケイケじゃん!」
イッテコイ
プラスとマイナスでトントンの意。
同日中に相場の上げ下げがあったが、結局前日と大差なく終わる様子。
どこかに行けと言っているわけではないので注意。
例文:「今日は結局イッテコイでしたね。」
エイヤー!で作る
急いでだいたいで作る。
例文:「エイヤー!で見積もりを作成しました。」
ざっくり作る
だいたい粗々で作る。エイヤーとの違いは「急いで」ニュアンスを含まないこと。
例文:「ざっくりですが、とりあえずたたき台を作成しました。」
ガッチャンコする
2つを合わせる=ホッチキスで留めるイメージ
例文:「前に作った資料も合わせてガッチャンコしてくれる?」
交渉するときの表現
ネゴる
negotiation(交渉)の略。
例文:「事前に部長とネゴっておこう。」
仁義切る
元は任侠、テキヤなどのそちらの世界での挨拶のこと。
何か新しいことなどを始める前に、あらかじめ関連部署や人に伝えておくこと。
業界や社内の通例、しきたりを守るような意味合いも含まれる。
≒スジを通す
例文:「このプロジェクトを円滑に進めるために、本部長に仁義を切っておこう。」
握る(にぎる)
取引先や関連部署と合意を得ること。
重要な人物と丁寧に認識のすり合わせをするときに使うイメージ。
例文:「その件については、○○さんと握っておいたので大丈夫なはずです。」
ベンチャー界隈でよく聞く言葉
スケールする
プロジェクトの規模を拡大すること。スタートアップ起業や、ベンチャー企業などでよく聞く言葉。
「scale」は定規とか尺度みたいな意味しかないので、「スケールする」だと正直意味不明で、筆者がなかなか理解できなかった言葉。
「スケールしない」(拡大しない)ともいう。
対義語としては、「シュリンクする」(縮小するの意味)が一般的。
例文:「この事業はこれ以上頑張ってもスケールしないのでシュリンクしていこう。」
VC
ベンチャーキャピタルの略。
未上場の企業(ベンチャー)に投資して株式を得て、その投資したベンチャー企業が上場したときに株式を売却して利益を得る投資ファンドのこと。多くは投資するだけではなく、経営戦略についてコンサルティングを行い、投資したベンチャー企業の成長を促す。
ベンチャー企業としては、融資を受けるのが難しい場合が多いので、金策のひとつ。
例文:「思ったより金策に難航している。コンサルは正直うざいが、VCに相談してみよう。」
根回し系おじさんビジネス用語
鉛筆なめる
辻褄合わせに、数字を少し調整すること。ほぼこちらの意味合いで使われるが、稀に「一生懸命、丁寧に書く」という意味になることもあり、ちょっと厄介な言葉。前後の文脈で推理する必要あり。
例文:「やむを得ず、鉛筆なめなめして作成し、提出した。」
シャンシャン
予定調和のこと。予定通り何事も無く終了した株主総会のことを「シャンシャン総会」と言う。
問題を棚上げし、見た目上、丸く収めるようなニュアンスを持つ。
例文:「あの議題についてはシャンシャンで終わったよ。」
非現実的・よからぬことが起きるときに使う言葉
絵に描いた餅
非現実的で合理的でないことの比喩。
例文:「君の言っていることは絵に描いた餅だな。」
それ○○のインパール作戦だな
絵に描いた餅の最上級表現。「有り得ない」と「馬鹿?」のニュアンスが追加されている。
例文:「まるでインパール作戦だな。まったくいい加減にしてほしいよ。」
大本営発表
改ざんされた公式見解のニュアンス。本当はもっと悪いであろうことを暗に言っている。
例文:「それ、大本営発表だろ!」
まとめ
麻雀や野球など、時代の流行が背景にあることに気付かされます。解ってしまえば意外と便利ですね。最近は横文字のカタカナ語を使いこなす方が多くいらっしゃいますが、これも何時かは古臭く感じる様になるかもしれません。社会人になるZ世代の若者の皆さん、おじさんビジネス用語の会得は「コミュ力アップ手段」としてコスパ最高かも?
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