2023年に何が起こる? 日本と世界の経済見通し、マクロではリセッションの年か?

経済見通し2023年
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アメリカ経済とインフレ

原油、天然ガス、銅、穀物などの商品価格は、アメリカFRBの量的金融緩和政策の解除が効いてきたことから落ち着きを取り戻しています。

また12月27日に発表されたケース・シラー住宅価格指数(10月分)をみる限り、アメリカの不動産価格も4ヶ月連続で前月より下落しています。依然として雇用逼迫によりアメリカの賃金水準は高止まりしているものの、インフレピークは過ぎたと考えて良いでしょう。FRBの利上げも、桜の花が散る頃には終わりが見えてくると思われます。

ただしアメリカの低格付債券(ジャンク債)価格が、米国債価格と比べ高過ぎる水準にありることが気がかりです。ジャンク債の暴落で金融システムが傷つくとは考えにくいものの、ITベンチャー等への潤沢な資金供給が先細る可能性は高いかもしれません。

中国情勢

中国の経済成長率(2022年実質)は3%程度まで落ちるとの予想が増えてきています。中国の経済統計の作り方は他の先進国とは違うので一律の比較は困難ですが、GDP実質3%成長というのは鄧小平トウショウヘイの改革開放が始まって以来最低水準の数字です。

中国は不動産投資に偏重した経済政策ゆえに、日本のバブル崩壊型のデフレ経済に陥る可能性が強まっています。長かった中国バブルがソフトランディングできるか、非常に難しい舵取りでしょう。

また可能性の問題として、一党独裁の政治体制ゆえに、経済の行き詰まりによるフォークランド型の国際紛争の発生も危惧されます。

日本の政治経済

2023年の政治日程は4月の統一地方選挙と5月の広島サミットぐらいで、大きな国政選挙はありません。政権支持率は20~30%と低いものの、代替勢力も極めて弱いことから、政局が混乱する可能性は低いと予測しています。2023年度の政府予算についても、大きな混乱無く可決されるものと考えています。

3月には黒田日銀総裁の任期切れによる交代があります。今回の黒田さんは中央銀行総裁として国際的なビックネームであるだけに、日銀の金融政策への影響が世界的に注目されています。暗黙の慣例だと、次は日銀プロパーの人が総裁になる順番です。

10月より消費税のインボイス制度の導入が確定していますが、現状では準備不足による混乱が予想されます。大企業では精算系システムにインボイス番号の登録が始まっていますが、小規模法人や青色申告事業者やフリーランスなどの相対的に影響が大きい事業者ほど認識が浅いのが今回の特徴です。

IMFによる2023年の日本のGDP予想は実質1.6%ですが、ちょっと評価され過ぎの感があります。どちらにせよ先進国経済は実質1.1%成長の予想ですので、大きな流れとしてはリセッションの年になりそうです。
https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2022/10/11/world-economic-outlook-october-2022#Projections

気象変動

2022~2023年の冬は、日本では厳冬と大雪、北米は記録的な厳冬、欧州(特に東欧)は記録的な暖冬となりそうです。これらの寒暖変化の原因は、北半球の偏西風の大蛇行の影響が主要因です。そして偏西風の蛇行の主たる原因は、高緯度地域(=北極)の気温上昇と、ラニーニャ現象による赤道付近の海水温分布の変化の組み合わせが主たる要因です。

現在のラニーニャ現象は、2020年秋から始まって2年を超えましたので流石に2023年には収束する予想ですが、一気に反転してエルニーニョ(日本は冷夏になりやすい)になる可能性は今のところ高くはなく、日本は例年通りの暑い夏を予想します。
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/elnino/kanshi_joho/c_kanshi_joho.pdf

ただし現在起きている長期的な気象変動要因は、温室効果ガス濃度の上昇に由来することが”ほぼ”確からしいものです。また上記の北半球の偏西風の蛇行も、原因の半分を占める北極気温の上昇が止まるとは考えにくいことから常態化する可能性があります。ゆえに当面は、世界的な自然災害の増加傾向に変化は無いものと考えています。

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