「管理会計」とは「経営管理」のこと。「財務会計」との違いを簡単に紹介!
「管理会計」という言葉は聞いたことがあるけど「具体的に何をすればよいのか解らなくて困っている」という人は非常に多いです。今回は「管理会計」のイメージを分かり易く紹介していきます。
小さな会社だと、経理は税理士さんに投げて損益計算書を作ってもらって納税している所も普通です。管理会計は納税の為の会計とは違って、目的は企業の経営を管理記述分析することです。上場企業は何がなんでも利益を出さなければなりませんが、非上場企業は余計な利益は税金が勿体無いと感じます。目的が違うのならば、上場企業と非上場企業の管理会計も異なってきます。この辺の感覚が、管理会計は難しいと思われている理由の一つです。本屋で買った管理会計の本が自分の会社に使えないのも、上場企業で使う前提で書かれた管理会計なら当然です。
管理会計の最も一般的な3つの具体例
業績評価
単品経営の場合は重要度が下がりますが、複数の店舗や商品を運営している企業の場合、どこの部分が会社業績にどのくらい貢献しているのか、売上と利益に分解して把握することが必須です。売上種別コードや部門コードなどの財務会計的には必要無い情報を会計入力に付随して打ち込むのは、後から数字を分析するのに必要だからです。経営的な目線では「より良い未来に向けての改善」をする為に業績評価をするのが主眼で、社員評価(成果効果シート)に業績評価(管理会計の数字)を使うのは副次的な用途でです。
予算管理(予算作成)
経営計画を具体的な数字に落とした物が予算です。予算管理を通じて現実と向き合い、実態に則して経営計画を修正していく為に、毎月の数字を追って行きます。
現実と事業計画の間に差が生じるのは当たり前のことです。ですから、予算と実績がピッタリ一致するのを喜んだり、前年同期比で数字を比べて一喜一憂することに経営的な意味は希薄で、予算管理とは計画(≒戦略)を常に微修正していく為に遂行していきます。
原価管理
原価管理には「標準原価管理」と「原価企画管理」の大きな二つの流れがあります。 飲食業では「粗利額管理」とか「原価率管理」などと言うように業種業態によって言い方は異なりますが、根本的な考え方は”おおむね”同じです。
標準原価管理
標準原価とは、製品の原材料と、製造に必要な労働力の消費量を統計に基づいて算定することです。特に製造部門の場合、生産性の向上を図るための数字として必須です。
原価企画管理
企画原価とは、左記の標準原価とは逆で、「売れるであろう販売価格から利益を引いた金額」を製品原価として設定する考え方です。「目標原価の設定」と言ったりもして、B to Cビジネスの場合は重要です。Apple社が、”無印iPhone”(Proでもminiでもない普通のiPhoneのこと)のアメリカ価格を799ドルに置いてから、徹底した原価企画をしていくのは有名です。
中小企業では、上記のような管理会計の数字も(原価管理は別にして)会計入力した情報をもとに組み換えて作るのが一般的です。ですから管理会計を作り込むにしても、そもそも会計入力していなければ情報は存在しません。思いつきで税理士にいくら言っても、無いものは無いんです。
経営管理や経営企画は、仕事の大部分が地味
「財務会計」のやり方は”ほぼ”決まっています。決算書や財務諸表は、どこの企業でもだいたい同じですよね。しかし「管理会計」は、上記のような「定石」を各企業の実態に合わせて適用し、運用し続けていく行為です。「管理会計」とは「経営管理」であり、継続は力なりで、情報の蓄積が力になります。想定した経営計画の考え方が妥当かどうかは、結果と付き合わせなければ検証できないのですから。検証しなければ、未来に向けた改善すべき箇所を把握できるハズありません。
また、管理会計システムと称するアプリが全くの無意味とは言いませんが、アプリ導入するだけで管理会計スキームが構築できる訳がありません。会計だけでなく経営戦略や企業文化を考慮して作り込む必要があるのが、管理会計を難しいものとしている理由の一つかもしれません。
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