(書評)コンテナ物語、冷戦後のグローバル化を牽引した箱の発明

コンテナ船とサプライチェーン

世界を変えたグローバル化の実際

筆者が読んで紹介したい本を、書評として更新していきます。
第1弾は「コンテナ物語ー世界を変えたのは「箱」の発明だった/増補改訂版」です。

2020年〜2022年ぐらい(コロナ時代)は、至る所でサプライチェーンが分断されました。

「アメリカ港湾作業が渋滞してコンテナが滞留してしまっている!」「コンテナそのものが不足して商品が送れない!」「コンテナを増産しようにも、コスト競争の結果、製造は中国だけのになってしまった!」このようなニュース報道が度々ありました。物そのものが無い半導体不足を例外として、サプライチェーンの分断は大抵の場合は物流網の停滞がの正体でした。

そもそも、教科書的には「冷戦の終結とIT技術の進歩により、市場の単一化が進んだ」なんて感じでグローバル化を説明しますが、本書の物流の観点から見ると、コンテナの出現により物流コストがゼロに近づいたことにより、生産と消費の距離の差が問題にならなくなったことがグローバル化の正体だと感じられます。今現在、ITの世界で進行中の「フリー」の概念に似通っているのが意外で、実物経済の方が先行していたことに少々驚きました。

淡々と海運業界の変化の歴史を記述している本ですが、起こったことは革命的な変化だったのが理解できます。直近の2017年には、世界の海運は3グループにまで整理統合されました。巨大アライアンスを組まざる得ない歴史的背景がを記述したのが本書になります。かなりエキサイティングな読後感が得られますので、ビジネスパーソンの人には強くお勧めします。

高度にシステム化された世界物流では、コンテナ船寄港ルートから外れることは、ロジスティック網から外れると同義ですね。

2007年に日本語版が発売され、
2019年に増補改訂版も出ました。
地味なテーマのベストセラーになりました

ちなみに本書は、毎年年末にアップされる「ビルゲイツが選ぶ今年読んでよかった本」の2013年度版で推薦されていたもの(原題はTHE BOX)の日本語訳本です。

「コンテナ物語」のKindle版はコチラ(カテゴリ:オペレーションズでベストセラー1位)

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